コラムColumn
緩衝材の革新的な進歩
≪2018.11.08≫
◆はじめに
ECの急速な拡大により、消費者としては非常に便利になった反面、いろいろな課題も発生してきた。消費者としては実店舗での購買でないことから、期待した商品内容と異なることがあったり、受け取った荷物を開け商品を取り出した時の緩衝材の処理の大変さなどもある。
また荷主側としては荷物の小口化が進みピッキング梱包作業の生産性低下、不十分な緩衝材での破損事故など、従来のB to Bの取引とは違い細かい課題が多い。また、配送についても以前のコラムでも指摘したように再配達や時間指定など効率化を阻害する要因も多い。
今回は緩衝材に焦点を当てて、「従来のような緩衝材」のいらない「斬新な緩衝材」をご紹介したい。
◆ECにおけるお客様の満足度は何か
消費者としては、注文した商品が欲しい時点で正しくしかも正常に手元に届くことが最低条件であろう。さらに弊社が数年前に実施した消費者のグループ調査での結果を見てみると、届いた商品について手に取ったときのうれしさは
① まずは、梱包や商品に汚破損がないこと
② 開梱するときなるべく簡単に作業したい(例えばカッターナイフなどは使用したくない)
③ 開梱したら商品が即座に確認できること
④ 緩衝材の後処理が簡単であること
などが、宅配便が到着したときの顧客満足の基本であることが分かった
特に汚破損を防ぐとともに緩衝材として処理しやすいことが宅配便を受け取ったときに実感するうれしさである。破損防止に集中するあまり、消費者が開梱するとき非常に大変な思いをする通販もある。これからご紹介する「コンラップ」は、すでに大手化粧品メーカーの通販に採用されているもであり、上記の消費者満足度を達成した全く新しい考え方で作った斬新な緩衝材である。
それでは、コンラップの使い方や特徴を説明してみたい。
◆コンラップの使い方
コンラップは全く新しい発想で、従来の緩衝材をなくし、またいろいろなサイズの商品を完全に保護するラップ式の緩衝材である。コンラップの使い方は簡単であり、を参照いただきたい。
3ステップでだれでも美しく梱包できることが荷主側の作業生産性を大きく高めることであり、従来の梱包作業の2倍の生産性達成は実証済みでもある。
いろいろなサイズを一つのコンラップで梱包するための「マルチ張力アジャスター機能(特許)」を具備しており、これは他社にはない有力な機能である。マルチ張力アジャスターの基本機能は、3段階の張力調整機能を有することである。資料1(コンラップの使い方)のフラップに3段階の折目がありこれが調整機能の役割を担うとともに使用しているフィルムが他社にはない強い張力性能を持つことで今までにない強力なラップ機能を実現できたのである。
資料1:コンラップの使い方
◆コンラップの5つの特徴
コンラップの大きな特徴をまとめてみると次の5つになる。(資料―2参照)
【美粧性】
コンラップはフラップとフィルムで構成されているため開梱と同時に商品がはっきり見える。このため消費者としては箱を開けた途端に、うれしさがわいて くる効果があると同時に即座に内容を確認できることが大きい。
【作業性】
荷主の側から見ると、初心者の作業者でもコンラップに商品を挿入するだけで作業が可能なことから作業生産性が非常に高い。従来のような商品の養生や複雑な緩衝材選択も必要ない。
【柔軟性】
マルチ張力アジャスター機能によりフィルムの張力を有効に活用し3段階のサイズの商品を一つのコンラップでラップできる柔軟性がある。これにより多様性のある商品群を限られた種類のコンラップで十分対応できることが大きなメリットになる。
【経済性】
緩衝材としてのコストは従来とほぼ同じだが、作業効率化による労働コスト削減や資材の省スペース化、緩衝材管理の簡素化などにより高い経済性を誇る。
【安全性】
フィルムの強力な張力によりラップされた商品は完全固定され同時に中空にあるため、落下などによる破損の恐れがない。特にワイングラスなどの破損しやすい商品も直接コンラップでラップすることで安全性が保たれることは、多様な商品への活用の広がりが期待できる。
資料2:コンラップの特徴
◆コンラップの活用分野
コンラップは、通販における緩衝材として開発したが、B to Cの分野だけでなく活用分野は広い。
先日の通販ソリューション展に出展させていただいたが、通販関連のお客様は当然ご興味を持ち、ブースに立ち寄っていただき革新的なコンラップをご理解いただいた。特にカメラやガラス製品、先の尖った商品など従来ではかなり厳重な養生や緩衝材を使用しなければならない分野でも、このコンラップでは簡単に対応でき安全性も担保できることに驚かれた方々も少なくなかったことが印象的であった。
コンラップは上述した5つの特性から通販業界だけではなくいろいろな業界で活用すると大きな効果が期待できる。例えば部品関連業界ではA工場からB工場に搬送する場合でも部品輸送における安全性確保のために発泡スチロールによる保護材を一品ごとに制作し利用していることが多い。つまり部品一品ごとに設計図をおこし、版型も作りそして発泡スチロールの保護材を生産しないといけないわけである。部品の変更が多いほどこれらにかかる経費は非常に大きい。
コンラップは部品の大きさや重さには適正限度あるものの、特別なことは必要なくそのままラップ材として活用できるのでコストセーブへの貢献度は大きいと感じる。特に部品の試作品など仕様が高頻度で変化するようなものには、コンラップは設計変更が不必要であり、発泡スチロールも不要なことから、最適な梱包緩衝材としての効果が確信できる。
また、変わった使い方として、公的な捜査機関がいろいろな現場から証拠品などを押収するとき、その物品を保護するため多くの緩衝材や段ボールを現場に持ち込み梱包するわけある。この時段ボールに合わせたコンラップを活用すれば、現場への持ち込み資材も大幅に削減でき、更に現場での押収作業も迅速化でき捜査のスピードアップや証拠品の保全などに効果をあげられる。まだまだコンラップの有効な使用範囲は広がるであろう。以上のように緩衝材の革新的な進歩といえよう。
緩衝材の削減や先進的梱包にご興味のある方は、ぜひ弊社にお問い合わせください。
著:長谷川 進(㈱東京ロジスティクス研究所 顧問)