コラムColumn
物流力の診断~あなたの会社の物流の強み弱みを見つけよう~
≪2018.04.02≫
◆客観的な自社の物流力を把握
前々回のコラムで「あなたの会社に物流力はあるか」を掲載させていただいた。急激な商流の変化や労働力の不足そして一方ではその対策としてのIOT化やAIの可能性検討が始まっていることは、前々回のコラムで述べた通りである。
あなたの会社の物流力を客観的に容易に診断することができ、そこから弱みや強みを読み取り、それを深堀することにより具体的な課題が見え物流力アップにつながることが、弊社の物流診断(無料)である。
物流力は単に物流そのものだけではなく、企業全体の取り組みがどうなのかを多角的に診断して、判断するものである。今やロジスティクスは企業の総合力の重要な要素となっている。
◆まず、物流管理体制はどうかを確認
物流やロジスティクスに関する戦略や計画、管理を行う専門の組織の存在が重要だ。そこで理念や方針を立案することができ企業としてぶれない方向性が決定できる。また企画部や営業部門と一緒に物流中長期計画が策定されていれば企業内での連携したロジスティクスであることが確認できる。
物流人材教育も組織の活性化を促進し、サプライチェーン全体の効率化を目指す視点で人材育成ができる。いわゆるSCM(市場情報をもとにした資材調達、生産、販売、出荷)の実践ができるためのキーポイントになる。
◆次に物流情報システムについてみてみよう
まず基本は、受注から出荷指図にいたるまでの一連の処理に、コンピュータを利用しているかどうかである。このシステムで顧客への回答や在庫状況の判断が即時にできることが物流全体の質を向上させる。
新技術(バーコード、WMS、EDI、IOTなど)の採用も積極的に検討し、自社物流への効果を見極めることは、これからのロジスティクスの付加価値を大きく高める要素でもある。特に現場への新技術導入は効果が可視化でき意欲の向上にもつながる。
◆在庫の問題も忘れてはならない
在庫には製品だけでなく、資材や部品在庫、仕掛品在庫などもあるので総合的な管理が必要である。生産管理とも関係があるが、どの状態で在庫していることがキャッシュフローに有利かも判断できる。
また、在庫基準の設定や定期的な棚卸、そしてその結果が許容範囲であるかを判断し、関連部門に常に知らせることも在庫管理の肝である。物理的には、先入先出やロケーション管理によるピッキングの容易性確保も実務上大きな効率化要因である。
◆お客様へお届けする体制は?
お客様が本当に満足しているかどうか、自社製品の届先の荷受け状況を常に把握すべきである。そのためには、輸送業者の管理基準の設定や定期的な実施状況チェックが大切である。
一方、市場は急激に変化しているので、物流拠点と輸送・配送ネットワークについて見直しの機会を設けるべきだ。さらには輸配送業者との情報連携や共同物流、モーダルシフトの可能性検討も課題である。要はお客様へのお届体制が顧客満足に適合しているか、また過剰サービスかを判断することで営業拡大へもつながるのではないか。
◆わすれがちな包装梱包管理
包装梱包の第一義的機能は荷役や輸送強度が担保できるかである。当然コストとのバランスが大切であるが、顧客側の見方も把握しておく必要がある。特に昨今のEC物流では、小口化が進みまた受け取る側のうれしさ実現や梱包材や緩衝材の後始末の課題もクリアーすることが重要である。
設計時での輸送テストや加重負荷テストの実施など、十分でない企業も見受けられるが、ここは簡略化してはいけない分野といえる。
また、B to B におけるパレット、オリコン化などでの環境負荷の軽減に目を向けることが環境重視型の企業としての評価基準でもある。包装梱包資材にバーコード、QRコートの貼付など効率化に向けた施策の実施度合いを強化することも忘れてはならない。
◆経営に直結するコスト管理は
最低限、物流コストを毎月算出、管理しトップ報告を忘れてはならない。また、物流改善や効率化を実施した時の物差しとしても、物流コストでその効果をチェックすることを心掛けたい。それを踏まえ、全社的な物流コスト削減計画を策定し、その目標に向かった活動をすることで物流力は増価する。
物流コストの多くを占める人件費について、効果的に適正化するには作業者やパートタイマーへの指導、教育を重視したほうがいい。常に生産性向上という視点を持ち、活動をすることがコスト管理の基盤にある。可能であれば物流コストは、機能別、事業別、商品群別に把握しいわゆる活動基準原価計算(ABC)の導入ができれば最高のコスト管理といえよう。
◆物流診断の可視化
いろいろな角度での診断からその企業の強みや弱み、そして企業における物流力のバランスがレーダーチャートで把握できので、弱みの部分を強化し物流力の増加と強みを生かした経営に徹していくことが、最終的には企業競争力をつけることになる。
A社の物流力 「レーダーチャート」
著:長谷川 進 (㈱東京ロジスティクス研究所 顧問)