コラムColumn
失敗しない物流センター検討のポイント
≪2017.07.18≫
◆物流センターは自社専用を構築か?それとも賃貸+3PL活用か?
今日、ネット通販の普及を背景に物流施設の需要が根強く、首都圏における大型物流センターの稼働率が高まっている。大型物流施設には物流事業者が賃貸物件として営業しているケースやマルチテナント型物流施設の利用といった自社で物流センターの運営を行わない場合と、荷主系企業が自社の物件として設置するケースがある。
最近は弊社への物流相談や荷主企業の物流部門ご担当者との話の中で、自社センターの構築を検討しているといった内容を耳にすることが多くなったよう感じる。特に通販業界では自社で物流センターを構築する荷主が増加傾向にあるのではないだろうか。
勿論、マルチテナント型の物流センターに関しても、前述の需要増から特に首都圏では増加傾向が顕著である。このようなタイプの物流センターは、借主が決まっていない段階から建設するケースも多く、一般的には汎用性の高い施設になっている。
◆自社の状況と商材の特徴を考え最適な物流センターを選択しよう
荷主として、物流センターの利用を検討する際には、それぞれの特徴を把握した上で、自社に最適な選択を行う必要がある。ここでは、自社物流センターとマルチテナント型物流センターなどを利用した3PL事業者への業務委託でのセンター運営について、それぞれの特徴を簡単に考えてみる。
まず、マルチテナント型物流センター+3PL事業者の活用の場合、経営資源を本業へ注力することができ、コストが明確なためコスト管理が行いやすいなどの点が挙げられる。
一方、自社物流センターの場合は、施設・設備の使用目的が明確であるため、可能な限り自社の物流事情に適した施設にすることが可能となる。自社倉庫は、荷主の取り扱っている商材に適した物流条件(冷凍・冷蔵、小物、在庫管理の問題等々)を考慮した施設や設備の導入、今後の人材不足に対応するための自動化設備の導入など、荷主の判断で設計していくことができる点が最大のメリットと言えるだろう。
ただ、コストと運用費用の長期採算性を見たとき、自社がいいか3PL活用がいいかは判断のしどころである。3PL活用には、荷主の本業専念や物流のプロである物流事業者のノウハウを効率的に活用するという意味で大きな効果も望める。どちらを選択するかが、失敗しない物流センター設置の第一関門といえる。
◆物流センターの基本構想を策定し、最適な物流センターを構築する
では、自社で物流センターを構築することを選択した場合、どのような点を考慮してセンター構築プロジェクトを推進していく必要があるだろうか。まずは基本構想を検討する必要があるだろう。
基本構想を検討する際のキーワードを上げてみると
1.人手不足とシェアリング
2.自動化、ロボット化
3.見える化
4.オムニチャネル化
などが、今日的には考慮すべき課題である。
そして上記で挙げたような構想を達成するために、物流センター構築で検討すべき要点としては、
① 基本構想(背景や目的)の検討
② プロジェクトの編成(自由な意見の場)
③ センターの立地(立地条件と選定・確保)
④ システム設計とレイアウトプラン
⑤ センター運営組織と要員計画の策定
⑥ 具体的投資額と運営費の試算・再評価
⑦ 詳細設計とマテハンメーカーの選定
⑧ 詳細仕様確認と製作・工事、総合システムテストと試運転
⑨ 作業訓練と稼働準備
⑩ 本稼働とフォローアップ
が挙げられる。
これらを十分に検討・運用することで失敗しないセンターの構築が可能となる。
◆物流センター構築に向けて・・・
以上で、失敗しない物流センター検討のポイントについて簡単にお話した。もう少し詳しい内容については、弊社の無料WEBセミナーで4回に分けて公開しているので、ぜひご覧いただければ幸いである。
著:長谷川 進 (㈱東京ロジスティクス研究所 顧問)
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